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-Local Report-

今回は鈴木 里奈さんにお話を伺いました
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ローカル×大学生で地域の未来を見据えて課題に挑む
~フィールドワークを通して地域に貢献する想いとは~

日本全国

よそ者が地域に入ることで、地域課題に対して今までなかった視点や気づきが得られることもあると思います。特にフレッシュな若者が、地域へもたらす影響は多いのではないでしょうか。


中でも、大学生が地域へ一定期間入り込んで、現地の受入先や住民との交流を深めながら地域事例や課題解決を行う活動に関して、耳にしたことがある方もいると思います。しかし、コロナ禍で地域へ足を運ぶことが厳しい状況が続いている中で、いかにそのような実習を継続していくか課題もあります。


今回は、東北地方で実際に現地で活動していた鈴木里奈さん(大正大学 地域創生学部 2022年3月現在)と、弊社インターンとのトークを通して、現地でこれまでどのような活動を行い、地域との関わりしろを築いてきたのかをお届け。


鈴木さんが南三陸町でのフィールドワークを通して得た学びや気づきとは何か、また南三陸町への想いについて迫ります。

長期間の地域実習で地域の課題を見い出し、主体的な活動を通して解決の糸口を掴むことと地域の魅力を引き出すことの先に見えるもの


平野(モデレーター:以下、省略):本日はよろしくお願いします。初めに南三陸町での活動についてお伺いできますか?


鈴木さん(以下、敬称略):まずは1年次の実習に関してお話ししていきます。



写真左>鈴木 里奈(すずき りな)さん:大正大学地域創生学部4年生(2022年3月現在)/東京都出身。学部の実習で、宮城県南三陸町にて主に観光について取り組んできた。実習以外でもイベントボランティアなどで町に関わり続けており、南三陸町は第二の故郷だと語る。


鈴木:大学1年次の実習では、約40日間地域に入って活動を行い、主に観光について取り組みました。


最初の2週間は、南三陸町を知ることに重点を置き、南三陸町の特徴や観光について学んだり、南三陸町にある南三陸さんさん商店街の役割について深掘りしました。そのほか、観光協会でのインターンシップに参加したり、近隣の地域に行きました。


残りの4週間は、自分たちのやりたい観光分野の研究を深めるため、アポイントを取って取材に行きました。


鈴木:私たちの班が最終的に考えたゴールが「さんさん商店街+αの観光地に行ってもらう」ことでした。


このさんさん商店街は、観光地として南三陸町の中では有名な場所ですが、観光客が一極集中している現状があります。そのことから、+αの観光地にも行ってもらいたいと思うようになりました。


南三陸町では定住人口が減っている現状もあり、そこの部分を補うためにも観光で交流人口を増やし、経済活動で活力をアップさせ、定住人口分の経済を回すのがベストではないかと考えました。




まちの魅力化と地域観光の新しいコンテンツを作るための仕組み作りのきっかけが、人の温かさに触れたこと


鈴木:さんさん商店街以外の+αの観光が加わることで、滞在時間が増えて宿泊につながり、まちに良い影響をもたらすと結論づけました。


そのためには、観光の土台作りが必要だと考えました。私たちの班が考えた土台作りとは「地元の人がまちの魅力を語れること」です。


このことから、さんさん商店街の商店主が地元の魅力を語ることができれば、+αの観光につながりやすいのではないかと考え、商店主にアンケートを取りました。


観光地だったり、食だったり、オススメを商店主の皆様に聞くことができた一方で、飲食店の商店主には話しかけづらいなど、さまざまな改善点が現状として明るみになりました。


鈴木:自分たちが聞いて実際に行ってみたいと思えた説明の仕方を語れる人の定義としていたので、リサーチ結果としては、全員が全員地元の魅力を語れるわけでもなく、土台作りはできていないと私たちは最終的にまとめました。


南三陸町では震災前に「南三陸町のふるさと観光講座」を開催していた経緯もあり、こういったものを商店主やスタッフ向けに行ってはどうかと提案させていただいて、1年次の実習は終了しました。


鈴木:次に、3年次の実習で行った個人研究についてです。コロナ禍の影響から、オンライン実習となっていますが「人に会いに行く観光の仕組み作り」が、私が行った研究です。




鈴木:これをテーマとして選んだ理由は、この図の旅行リピート層の中で、人との交流の値が高いことが背景としてあります。また、3年次の研究では書けなかったのですが、「南三陸町の人の温かさ」がもう一つの理由として挙げられます。


1年次の研究で温かく迎えてくださったこともあるのですが、私が2年生の時に体調を崩してしまった時に、南三陸町の方がメッセージをくれたことがとても心に残っているんです。


どんな場所にいても温かく接してくださる南三陸町の人の良さを、観光に取り入れたいと思い「人に会いに行く観光」を考え、需要があるのか実習の中で調査した結果、その仕組み作りのステップの構築も必要だと思いました。


現地の世話人の伴走が大切にすべき意識を持続させ、地域の人と距離を縮めることに


平野:地域に行く際やフィールドワークで地域の現状を知っていく中で、特に大事だと思ったことはありますか?また、現地で心掛けるべきことや取材でどんな方々からお話を伺うべきでしょうか?



写真右>平野 彩音(ひらの あやね):大正大学 地域創生学部2年 町おこしロケーションタイムス インターン/三重県松阪市飯高町出身。三重県立飯南高等学校在学中に空き家片付けプロジェクトなどに取り組み、卒業後も地域と関わりを続けて空き家問題などの地域課題に取り組んでおり、その活動が注目され、「地域人(地域構想研究所 地域人)71号」で取り上げられる。最近は地域の特産品に関わることにも携わりながらweb「空き家活用特集」での情報発信も行う。


鈴木:南三陸町は、東日本大震災の被害にあったまちでもあるのですが現地の人たちと接する際、通常なら入り込めないところにも案内していただくこともあり、常に感謝の心を持ちながら地域の人と学生の距離を縮めました。


その結果、辛い震災のお話に関してもお話いただくことができ、今でもありがたい気持ちでいっぱいであり、とても大切にすべきことなのだと思っています。


また現地に滞在することが多くなる中で忘れがちになりやすい挨拶をしっかりすることです。そして、積極的に地域活動に関わっている人については、お話をしっかり伺うべきです。


平野:現地のコーディネーター(世話人)の方との関わりはどうでしたか?


鈴木:私たちの実習は一班に一人コーディネーターの方がついてくださり、とても親身になって接して下さいました。


鈴木:実習プランとして、最初の2週間は現地を知る内容で、1日の流れとしては午前は9時から滞在先のいりやどにゲストの方に来ていただいてお話を伺いました。午後からは観光地に行ったり、観光地の人に対して取材を行いました。夕方からはその日のまとめをしていました。


平野:コーディネーターの方は一日密着だったのでしょうか?


鈴木:日によって異なります。一日ついてくださる日もあれば、コーディネーターの方は別の仕事も持っているので、他のコーディネーターの方がついて下さったりと日によって違いましたが、全体を通して半分くらいは一日中ついて下さいました。



大学生になって初めて親元を離れて地域実習を経験し、不安を抱きながらも結果として挑戦できる良さに気づく


平野:鈴木さんは出身が東京ですが、大学に入学以前は地域との関わりはあったのでしょうか?


鈴木:小学生の頃に、ボーイスカウトジュニアリーダーとして地域活動を行ったり、高校生の頃は、授業の一環として公園の清掃を行っていました。それが、大学に入るまで地元で行なっていたことで、本格的に地域と関わり始めたのは大学の地域実習です。


長期間、今まで暮らしてきた東京を離れ、かつ親元を離れることもあったので、「何か成長できるのでは?」と淡い期待を持っていました。その時は何が成長できるのか具体的には分からなかったですが、終わってからは自分の可能性を信じてもっと挑戦して良いんだと気づけました。


しかし、実習に関しては、期待もありましたが不安の方が大きかったです。果たして地域の人によそ者が受け入れてもらえるか。私は二期生として行ったのですが、一期生の先輩方が積極的なタイプの人たちだったようで、その人たちの後に行くことに対し、自分は大丈夫かなと不安がありました。


平野:地域の方々に受け入れてもらえるか不安だったという風におっしゃってたんですが、初めて顔合わせした時の印象はどうですか?


鈴木:印象として残っているのが、人との距離を埋めるのが上手い方が多かったことです。特に、滞在先のいりやどの方は学生を始め企業の方も受け入れていることもあって、話すのが上手いというか、聞き上手でした。



大学を離れても関係人口として自分の可能性を信じて、本気で地域を応援する力を身に着けることができるのが地域実習の良さ


平野:実習を振り返って思うことはありますか?


鈴木:実習を本気でやればやるほど日数が足りなくなることです。それほどのめり込んでいたと振り返って思います。それも、環境を整えてくださった方々のおかげなので、感謝しなければなりません。


そして、いろいろなヒト・コト・モノに触れたからこそ南三陸町の人の温かさを感じられたり、第二のふるさとになったのかなと思います。


平野:これからのビジョンについてお伺いしてもよろしいでしょうか?


鈴木:東京で就職するため、継続的に直接関わるのは難しくなってしまうかもしれませんが、就職する企業は南三陸町などに関わっていることもあり、職場の人にも紹介しつつ関係人口として引き続き応援していきます。


平野:最後に、大正大学や他の大学で行われている地域実習やフィールドワークへ参加する学生に向けてメッセージをお願いします。


鈴木:フィールドワークができているのも、受け入れ側や主催者側の協力があって初めて成り立つと考えています。地域の方に受け入れてもらえる環境に感謝しつつ、ぜひ自分の可能性を信じてがむしゃらに取り組んで欲しいです。



結び-Ending-

今回の取材を通して、南三陸町に行かずともそこの人の温かさが伝わってきました。地域に入る際に、「感謝の気持ちを忘れない」「挨拶をきちんとする」など、人間関係において当たり前だけどとても大切なことを心掛けることで、信頼関係が築けるのだなと感じました。


大学での地域実習にとどまらず、鈴木さんには今後もぜひ南三陸町に関わり続けていってほしいなと思いました。

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■企画・著作
北嶋 夏奈(Kitashima Kana)
地域の暮らし・活動に興味あり。
好きなことは文章を書くこと、写真を撮ること。

【取材データ】
2022.02.24 オンライン取材
【監修・取材協力】
・大正大学 地域創生学科学部 事務室
・鈴木 里奈様
・齋藤 知明様
・那須 彩乃様
取材にご協力いただきました関係各諸機関のほか、関係各位に厚く御礼申し上げます。