3年間走り切った地域おこし協力隊 ~消滅可能性都市に立ち向かう姿とは?~
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3年間走り切った地域おこし協力隊
~消滅可能性都市に立ち向かう姿とは?~

石川県加賀市

今回は山田 真名美さんに
お話を伺いました
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山田 真名美(やまだ まなみ)さん:加賀市地域おこし協力隊

東京都調布市出身。結婚を機に石川県加賀市へ移住し、地域おこし協力隊として移住コンシェルジュを3年間務めた。場所も人も知らない新しい土地で新たな自分と向き合う中で見つけたのは地域のあたたかな風土。山田さんは仕事ではなく個人として町の様子を発信するブログを始めて深掘りしていくうちに地域を発信するローカルメディアへと発展させた。メディア運営で取材活動を続けるうちに地域の人々とつながりを深めていく。現在はまちづくり団体に所属してその運営に携わる。

北陸は石川県の片隅に当たる加賀市。人口6万7千人ほどの町。加賀温泉郷という観光名所として知られる一方で「消滅可能性都市」に位置付けられています。その脱却を目指し、地域活性化やまちづくり活動に力を入れています。


加賀市では、地域おこし協力隊が18人と県内では最多の隊員が活動する町です(19年4月現在)。


今回はその中の一人、東京から移住して3年。間もなく卒隊を迎える山田 真名美さんを訪ね、まちづくりやご自身が運営するローカルメディアについて話を伺いました。

移住コンシャルジュという移住促進担当のお仕事についてですが、空家という物件を扱う中で大切にされていることや課題ついてお聞かせください。


最近の移住を希望される人は地方創生と凄い言われているので、あらかじめ知識を得た上で来られて地域活性化しながら自分の仕事も楽しみたいという方が多いです。


でも、中には例えばなのですが、農業をやりたいという感じで入って来られる方がいてイメージ先行なのか、農業の大変さ、畑を借りることへのリスクなどを認識していないケースがありますね。


また、移住希望者の中にはテレビで紹介されているような田舎暮らしみたいな理想像を持っていらっしゃって何となくの雰囲気で起業したいとか「ちょっと住む地域を変えてライフスタイルも田舎暮らしっぽくしたい!」というテンションの方とかは確かにいらっしゃいます。


そのような方はギャップがありますよね?コミュニケーション能力云々よりも実際住んで仕事は見つかるのかなと心配になることがあります。



また、加賀市の一番の課題としてすぐ住める空き家は少ないんですよね。傷んでいたりとか手直しが必要とか。そういう物件を安易に取得しようとすると、その人自身の負債につながってしまいます。


あと、加賀の方(空家の家主)は物件を買って欲しいとみんな言いますね。でも移住者としては、まず借りたいと思うんです。私も(借りたい派としての立場なら)移住者の方がいきなり空家を買うと言われると結構心配してしまいますよね(笑)。本当に買いますか?みたいな・・・。


ずっと住む町なのかという見極めも短時間で出来ないと思うんです。このように空き家を巡って、借りたいという移住者と売りたいという地主さんのニーズが食い違っているのが大きな課題ですよね。


ローカルメディアを運営することになったきっかけを教えてください


とてもシンプルかもしれませんが友達(町の人とのつながり)が欲しかったんですよね。移住当初は道も分からないし加賀はどんな町かも分からない。そんな状態からのスタートだったんです。

また協力隊着任当初は役場勤務で、ほとんど表に出ることがなかったんですよ。企画書を作成して稟(りん)議・回覧に送る日々で、他に自分らしく何かできることはないのかって考えていたんです。

自分がもっと自由に文章を書いたり、思ったことが書けるところ。そんな場所が欲しかったんです。最初はブログという形で、日々思ったこととか、出会った人のこととかを紹介しようと思ってやっていたんです。


でもそれは、『地域おこし協力隊』としてではなく、「山田真名美」個人としてやるスタンスとして。それだと個人的なブログなので市の了解をとる必要がないじゃないですか。


それからですかね、次第に自分のことよりも、地域でどんな人がいるかを紹介するようになったのは。その方が求められている感じがありましたので。


今まで経験のなかった「取材」や「ライティング」を積極的に取り入れてブログからサイト、そしてメディアへと変わって行ったんです。

最近になってプロの方に依頼してWebサイトへのリンクをまとめたポータルサイト「加賀ぐらし」という名でリニューアルしたんですよ。協力隊を卒業しても続けて行きたいです!




協力隊同士の研修会には興味ありますか?


地域おこし協力隊の初任者研修ではなく有志による研修会ですか?う~ん、私って協力隊であれば何でも興味あるのかと言うと全然そんなことはないんです。


北陸にもそういう研修会はおそらく存在するんだろうと思うんですけど、フィールドが違うというか私にはあまり興味ないですね。例えば他の地域からも行政や協力隊の方が視察に来られてお話をすることはありますけど、結果として自分自身の活動と結び付かないことが多いなと思います。

私は地域の何でもない人がどうやったら地域の未来を楽しく描けるかやここで楽しく働くにはどうしたらいいのか等を考える地域づくりにとても興味があるので、よく視察へ行っています。



協力隊任期満了後の展望についてお聞かせ下さい


私は加賀市に特化したローカルな財団「あくるめ財団」の一員でもあるんですが、それは「加賀ぐらし」の延長というか、今まで気づいてなかった地域の魅力を発信していくのはこれからも変わらないのかなと思います。




結び-Ending-

取材の後、山田さんに地域の方々とのバーベキューに誘っていただきました。その方々はほとんどが「加賀ぐらし」で紹介されているまちづくりに関わる人でした。


当初は何の接点もなかったであろう地元の方々。ローカルメディアの取材を通じて生まれた町の人との深いつながり。


また、上記動画でもあるように取材を終えた後も御礼として「今夜がヤマダナイト」というパーティーで関係者を招待して地域の人たちを大切にする姿も見受けられました。


しかし、ここまで築き上げるまで時間もそうですが苦労もあったでしょう。3年間という協力隊の任期。途中で退任される人も聞く中で無事任期を全うされ、さらにこれからもまちづくりに関わって行こうとする山田さん。その光跡を称えたいと思います。

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■企画・著作
中野 隆行(Nakano Takayuki)
地域での写真活動を機に
地域の人たちの価値観に触れたことがきっかけで
このメディアを立ち上げる

【取材データ】
2019.5.11~6.29 石川県加賀市

【取材協力】
山田 真名美様

取材にご協力いただきました関係各諸機関のほか、関係各位に厚くお礼申し上げます。

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