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ワクワクする自由な文化の交わりが生まれる場づくり
~駄菓子屋だった場所から地域の分断と孤立からの脱却~

愛媛県松山市(北条地区)

今回は長野 さくらさんに
お話を伺いました
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長野 さくら(ながの さくら)さん:public house「はま」オーナー

愛媛県松山市北条地区出身。北九州市立大学卒。学生時代の原体験を活かし、地元に戻って港に近い空き店舗を改修し、地域内外から訪れる人のコミュニティスペースづくりのためにクラウドファンディングを実施し資金を調達。「はま」を通して地域と人のつなぎ役となりリレーションをリデザインし、分断と孤立から守るべく日々奮闘中。特技は書くこと。

Instagram>https://www.instagram.com/hama.hojo/

note>https://note.com/skpskpskp/
Twitter>https://mobile.twitter.com/sakusakusakupi
タテヨコ愛媛>https://tateyo.co/author/sakura-nagano/

旅行先は何を基準に決めていますか?泊まる場所の安さ、または高級感あふれるクオリティでしょうか?


どうせなら旅先で出会った人たちと仲良くなってまたそこへ行きたいと思うきっかけができたらどんなに素敵なことだと思うのですがいかがでしょうか。


今回は地域の人に会うことの大切さを訴えながら遊び場や言いたいことが言える場づくりに挑戦されている長野 さくら(public house はま オーナー)さんのお話をお届け(イベントの告知もあります)。


"はま"から北条をどんどん面白くすることで地域の分断・孤立から脱する理想的な方法とは?


\public house はま/

オープニングイベント

「ひらけ、はま!」


2022年12月3日(土)11:00〜21:00

public house はま(愛媛県松山市北条辻地内)

地域の若者や担い手が共同でイベントを開催


夕方16時からは、彼らがついた餅で餅まきを予定

他にも、当日は楽しめる企画を用意してお待ちしています。

詳しくはInstagramをチェック!


\同時開催/

北条港を目の前にかつての駄菓子屋が

地域内外の作り手の想いも加わりpublic house「はま」へ。

その様子を12月31日の大晦日(金土日)までご覧いただけます。



原体験が地域内外の人たちがお互いの肩書きを忘れて楽しめる場所を創ることへの挑戦に


 「最近は毎週金曜日に駅の近くにあるカフェを借りてバーを開いてるんですよ」(長野さん)


そう話すのは半年前に北条に帰ってきた長野さんだ。一年前にオープンした店のオーナーと知り合い、これからまちでやりたいことを話していたら意気投合。


店を使っていない夜間に、これから店を出したい人向けに場所を貸してくれることになり、カウンターでバーを営業している。


大学時代は北九州で過ごしながらワーキングホリデーを通してアイルランドに滞在。期間中は現地のゲストハウスの手伝いをしていたが、この部分から「はま」づくりにつながる部分は何だろうか?



「元々、ゲストハウスは5年前の学生の時からやりたいと思っていたんです。アイルランドに行ったときにバーテンダーの経験があった私は、自身の経験を基にしたバーでの仕事はできないかと調べていると、現地のバーって宿泊施設と併設されている所が多かったんです。


業務内容としては宿の清掃と受付や、飲食店での準備に客への提供と一緒になってるんです。実際、私がそんなお店で働くときも両者の業務に携わることが主体になっていたんですね。


そこで感じたのは運営する人たちも来る人たちも、お互いの立場を乗り越えられる飲食店と宿を結んだほうが楽しいだろうと。だって、そこのスタッフもヨーロッパやアジアから来ている人たちと一緒に働けて国際色豊かな環境が凄く楽しかったから」(長野さん)


場所を提供するポジショニングで遊び場や言いたいことが言えるサードプレイスにすること


いつか地元に帰ったときに、そんな人と人が交流できる場所が近所にあったらどんなに楽しいことか。一緒に暮らしているまちの人や、自分の家族や親戚、そして同級生まで楽しめるのではないか。そんな原体験が今に通ずる部分だと長野さんは話す。


そう思い立ち北条へ帰ると親戚が所有する駄菓子屋だった空き店舗を改修し、地域内外から訪れる人のコミュニティスペースとして「public house はま」を創ることを決意。アイルランドで得た知識を活かしながら「はま」として大切にするものをこう話している。



「言いたいことが言える場所って中々ないじゃないですか?人との距離が狭くて遊び場が限られている中、話題がすぐ拡散するのは生きづらい世の中だなと思うんです。特に外から来た移住者と地域側の人って同じ想いを抱いていてもパブリックな場で言えないことがあって、すれ違いや誤解が生まれたりすることが多いんです。


行政や地域と移住者の間に入り込んで伴走しながら応援したいですが、まずはそんな安心できる場所を提供したいです。そこで何か生まれて欲しいし、子どもたちが学校と家を往復する間にも入る形で遊び場や言いたいことが言えるサードプレイスになれば、大人から子どもまで幅広い形でみんなの心が穏やかになるはずです」(長野さん)


現地に足を運ばないと伝わらない魅力を言語化することがまちに興味を持つきっかけを生む秘訣


PUBLICには「公共の」「地域住民」などの意味があるが、そこにHOUSEが続くことで“PUB(パブ)”へと変化する。北条の地でその想いを実現すべく長野さんはクラウドファンディング(以下、CF)に挑戦。結果として130%超の資金獲得に成功した。


CFを改めて振り返ってどのように思っているのだろうか?始める前と後の心境の変化がとても気になるところ。長野さんは個人でエッセイを書いてメディアプラットフォームに載せたり自費出版を行うほど書くことが好きであるが、伝えたいことをどう言語化するのだろうか?



「始める前は実店舗を構える理由をうまく言語化する必要があったんですが、私の考えとしては実際に現地に足を運ばないと伝わらない魅力や良さがあると思っていたのが前提としてあったので、言葉や写真で説明できないことを訪れることで補完できればいいと思っていたんです。


それをCFの文言に取り入れないといけないのでかなり試行錯誤しました。笑。結果的に共感が生まれる言葉にするために編集者に入っていただいたので本当に感謝しかないです。


また、私の想いに共感して応援してくださった支援者の方々にもお礼を申し上げたいですし、いただいた分はしっかり返していきたいです」(長野さん)


分断と孤立からの脱却はカジュアルなところで人と地域のリデザインを行うこと


話を伺って思ったのは、どこの地域でも人口減少が取りざたされている中で、孤独・分断・孤立という社会課題が様々な関係性も断絶が進む方向へ加速するのではないかと。


そして、さらなる社会課題を生む温床になるのは避けられない状況であり、長野さんがやろうとしていることは人と人が結びつくことによって人と地域の関係性のリデザインを「はま」を通してされようとしているのではないかと思ったのだ。



「コロナの影響で人との関わりがオンラインになっていく中でも、人と直接会うことの大切さやありがたさがもっと増えてくると思うんです。人の会う場所や集まる場所のスタイルを出しておいたほうが移動や旅の目的にも関わっていけるはずなんです。


その中でも宿と飲食店は人が集まる場所で大切な立ち位置なんです。よく言われるコワーキングスペースは今のところ考えていません。読書したり音楽を聴いたりしながら、他愛ないおしゃべりが生まれてゆっくり過ごせる時間を作ることで、人と人が話すカジュアルな形を大事にしていきたいです」(長野さん)


まちになかったモノを創出し、マーケティングを行いながらクオリティ高いサービスを提供する


地域にはない喫茶店を「はま」を通して創り上げたいと長野さんは話している。その中で考えられることは二つの課題である。その一つはクオリティ。会社を経営したことのない人にとって事業計画を立てることは一つの壁であろう。


しかし、何を何故やりたいのか、そしてどのように、どこに向けておこなうのかが明確になっているので、決してハードルが高いことではない。


「お金をどう稼いでいくのかも大事ですが、クオリティにもこだわりがあって、知識をもって提供していくのはとことん突き進んでいきたいですが、全てのクオリティを担保できないので任せていける人がいたらいいなと思います。


例えば私がコーヒーを出してたら『俺のほうが美味しいコーヒー出せるよ』と言って主体的になって動ける人が、自分でコーヒーを作って別店舗で出してもらったら面白いし、収益化がうまくできるようにマーケティングを行って満足度を高めたまま提供できる仕組みを作れる人がいると面白いしとても心強いです」(長野さん)



コアな価値に軸足を置きながら、顧客の満足が得られるインパクトやプロセスといった価値にも目を向けながらマネタイズを行なう


そしてもう一つはマネタイズである。長野さんが顧客に対して北条に来てもらって楽しめる場を提供したいと考えることは核とするべき価値である。しかしそれに対して価値をつけて売り出すことは難しい。というより顧客がどこに価値を感じてお金を払っていいか分からないと言ったほうが正しいかもしれない。


しかしその大事な部分を軸足として置きながらも、今後展開予定のカフェと物販も長野さんがやることだからこそ行きたいと思える自然発生する波及効果や影響力と言ったインパクトな価値として現われるかもしれない。



「ゲストハウスや私の取り組みを見て同じ道を目指すことについてお役に立てることは今まで考えたことはなかったですが、それをやりたいと思う人に対して何らかの支援ができることは良いことだと思います」(長野さん)


そう、このようにゲストハウスやカフェに物販・イベントをやりたいと思う人たちに対して支援ができるプロセスとしての価値を長野さんは見い出すことができるはずであり、コアな部分をしっかり抑えながらお金を得て自走していくことができると信じている。


コミュニティを重視したお互いがWin-Winになるエコシステムが地域で挑戦者を育む


長野さんは北条の地でやりたいことを一生懸命になって実践している。それを見ている周囲の人や高齢者といったネット環境から遠い人たちが応援したい気持ちになって巻き込まれていくように思える。


「“ハマ”のことをまちの人にあまり伝えてないのにみんなが知ってるんです。例えば近所の酒屋さんに買い出しに出かけたら"あんたやろー?"って応援してくれたりと地域のコミュニティには本当に驚かされています。


しかも近所の人たちが私の困りごとの相談に乗ってくれることがきっかけで駐車場をお借りできたり、魚や野菜といったまちの資源を使わせてもらうことがあるので、お互いがWin-Winになる関係を築いていきたいです」(長野さん)



何か頼みごとをしているわけでもないのに、まちの人たちが自然に集まってチャレンジする人を応援するエコシステムが自然に成り立っているのは素晴らしいことではないか。


義務感にとらわれない自由でいられる等身大な形がワクワクするまちづくりに


そして、北条はまちづくり活動がとても盛んだ。地域活動をしている人たちや団体が合わさればもっと面白いまちになっていくはず。


直近で地域のまち協「北条地区まちづくり協議会」が北条の歴史写真展(仮称)を開催したいと話している情報もある。そこで「ハマ」の前身である駄菓子屋のことをよく知っているネイティブな人たちがその昔の写真を持ち寄って来たらと思うとワクワクして仕方がない。


「北条はヒト・コト・モノがとても魅力にあふれています。掘り下げれば素敵な人たちがもっと表に出てくるはずで、public house"はま"から北条をどんどん面白くしていきたいです。ここにある多くの面白いことを言語化してアタッチして私の想いをこの場所で具現化していきます。


そして、そんな人たちを今を懸命に生きる地域のおじいちゃんやおばあちゃんとマッチングさせることによって薄れかけている地域の関係性を再構築していければと思います。


大事なのは地域を盛り上げようと義務感に捕われるのではなく息苦しさを感じない自由でいられる等身大の形です。そこを尊重し合うことで"はま"に関わる全ての人が居心地が良いと思える場所にしていきます」(長野さん)



「public house はま」オープニングイベント

「ひらけ、はま!」について


▽日時

2022年12月3日(土)11:00〜21:00


▽場所

public house はま

愛媛県松山市北条辻1537−3


▽行き方

JR「伊予北条」より駅を背に徒歩5分


▽入場料

無料ですが飲食店のため1オーダーをお願いいたします。


▽当日の内容

・地域の農業団体「きりぬき」を主とした食材を利用したスパイスカレーを提供予定(出展者:こもれび日記

・「はま」ができるまでの施工中の日々を映像と写真で展示(こちらは当日以降、12月31日までの金土日も開催)

・16時から「はま」に関わる若者たちがもち米60キロを使用してついた餅を使った餅まき


イベントその他の最新情報はInstagramをチェック!



結び-Ending-

取材の中で何かお手伝いできることは?と長野さんに質問したところ、私自身が実際に北条を訪れて現地の雰囲気を肌で感じて客観的な立場でアドバイスや気になるポイントを教えていただきたいと言って下さったことがとても嬉しかったです。


地域で義務感に捕らわれることなく「もっと自由であっていいんだよ」って言ってくれることがどれだけありがたいことか。最後にいただいたコメントがとても心に響きました。

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■企画・著作
中野 隆行(Nakano Takayuki)
地域での写真活動を機に
地域の人たちの価値観に触れたことがきっかけで
このメディアを立ち上げる

【取材データ】
2022.11.13 ※ハイブリット取材
【監修・取材協力】
public house はま
・長野 さくら 様

【資料提供】
・長野 さくら 様
・横田 明日香 様

※現地取材においては感染対策を徹底の上、取材を行っております。

取材にご協力いただきました関係各諸機関のほか、関係各位に厚く御礼申し上げます。

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