レポーティング記事
愛媛県大洲市
大洲の新たな発見に触れて、まちの魅力を伝えることが交流人口創出に
~「オオズ エエモン オンラインツアー」に秘められた想いとは~
2021年11月6日、オンライン会議システム「ZOOM」を利用したオンラインツアー「大洲エエモンオンラインツアー」が開催されました。特筆すべきは大洲市が関係人口を中心とした外部人材の活用。
企画段階から学生や社会人の尾崎 美海(おざき みゆ)さん、二宮 美羽(にのみや みう)さん、菅野 晟太(すがの あらた)さんら3人が参画し、ツアー当日はそれぞれ地区ごとに分かれて案内役となり、町並みや新たなスポット、いもたきや和菓子、日本酒などを紹介。
参加者が画面越しでも旅を楽しめるよう工夫しながら、20代という若者の視点で感じる大洲市の観光や食の魅力を発信しました。私自身も同世代ということもあり、いつも以上にワクワクして参加しました。
まち歩きや日本酒でカクテル作りとこれまでとは違ったスタイルで新たな発見をレポート。20代が送るオンラインツアーで大洲の魅力に迫る姿とは。
大洲市の郷土料理や、美味しい甘味、今回の主役の日本酒などと大洲の魅力が満載の「お得な厳選セット」
オンラインツアーには欠かせない体験セット。今回のセットの中身をご紹介します。
・養老酒造(株)「風の里 純米吟醸 生酒」
大正10年の創業以来「和醸良酒」を拠り所に、手作りにこだわりながら日本酒を製造。
・村田文福老舗 「月窓餅」
大洲藩第2代目藩主加藤泰興公の大好物であることから名付けられた。創業1624年から代々受け継がれてきた大洲藩の銘菓。
・(有)大石フーズ 「愛媛・大洲のこだわりいもたき(レトルトパック)」
里芋を中心に、鶏肉・油揚げ・しいたけ・こんにゃくなどを醤油ベースで煮込んだ大洲市の郷土料理。
・幸野梨園 「豊月梨のジャム」
安心・安全な梨を作るために、毎年10万個を超える梨に1つずつ袋がけをして育てます。
一つひとつが大洲市の魅力を伝えるのに必要なお土産ですね。
カクテル作りには、炭酸水も必要だったので用意して早速ツアーに出発していきます。
蔵を客間に。リノベーションした大洲の歴史に触れられるホテルNIPPONIA HOTEL 大洲城下町へ
まずはナビゲーターとしてタレントのやのひろみさんがツアーの趣旨を説明。カッコイイBGMとともに登場されるのは他のオンラインツアーとは一線を画するものがあるのではないでしょうか?
やの ひろみさん:タレント シトラスリボンプロジェクト発起人メンバー/愛媛県松山市出身。愛媛県内を中心にテレビ番組やラジオのパーソナリティとして活躍中。大洲市とは強い関わりしろを持ち、イベントや取材活動などを通じて地域活性化に尽力している。
やのひろみさん
facebook>https://www.facebook.com/yanohiromi
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Instagram>https://www.instagram.com/hiromi163555/
公式ブログ>https://yanohiromi.com/
やのひろみの部屋>やのひろみの部屋/RNB 南海放送
YouTube>やのひろみチャンネル
ツアーはそんなやのさんの進行の下にスタート。まずはじめに大洲の町を案内してくれたのは、プロジェクトメンバーの尾崎 美海さん。着物姿で一気にツアーの世界に連れて行ってくれました。この素敵な着物、アンティークなずなさんで気軽にレンタルが可能だそうです。
尾崎さんが初めに案内してくれたのが、志ぐれの有名店「冨永松栄堂本店」です。大洲といえば志ぐれですよね。私も前回の大洲のオンラインイベントで食して以来、大好きなお土産になりました。今回のツアーセットには入ってませんでしたが、また食べたいです。
尾崎 美海(おざき みゆ)さん:大洲エエモンオンラインツアープロジェクトメンバー/愛媛県松野町在住。学生時代には感じなかった大洲の魅力ですが今になってその大切さを感じており、リアルで是非それを体感して欲しいと話す。
そんな松栄堂を過ぎると見えてくるのが、「NIPPONIA HOTEL 大洲城下町」です。このホテルは、大洲城に点在する歴史ある邸宅をリノベーションして作られた小規模分散型ホテルです。案内してくださるのは、支配人の宮村 翔瑠(みやむら かける)さん(下写真①)。
合計で5棟20室で構成されており、徒歩で移動できる距離に点在しているのが特徴で、これは移動を通して町全体を楽しんでいただき「好き」を見つけるきっかけ作りをしているそうです。素敵で、新しい発想ですよね。是非泊まってみたいです。
今回拝見したお部屋は、真ん中にお風呂がある不思議な間取りになっています。その理由が元々、蔵だった壁の構造が見えるように改築されたため、お風呂の位置が真ん中になってしまったそうです(下写真②)。蔵を守りたい想いを感じますね。
お部屋一つひとつへのこだわりはもちろん、お部屋以外の空間にもこだわりを感じます。
宿泊客だけが使えるラウンジは、大洲おすすめのお酒やジュースが用意されており、子連れの夫婦が2人きりでお酒を楽しめたり、親子でも楽しめる空間になります。
賞味期限が20分のわらび餅。大洲の甘味の見どころをご紹介
尾崎さんと一緒におはなはん通りへ到着。大洲といえばの観光名所です。おはなはん通りは昭和41年に放送されたテレビ小説『おはなはん』というドラマのロケ地になったことから名付けられています。
このドラマは最高視聴率55.5%を誇っているドラマ。ちなみに、平成2年に放送された東京ラブストーリーのロケ地にもなっています。何度もロケ地になるくらい綺麗で文化的な土地ということですね。
そんなおはなはん通りにある茶寮 平野屋を訪れました。創業明治2年の志ぐれ製造店舗でもある「ひらのや製造本舗」の和喫茶です。今回ひらのや製造本舗6代目の平井 啓太郎さんに名物のわらび餅を作っていただきました(下写真③)。
ひらのや製造本舗 6代目 平井 啓太郎 さん(写真上③)
一つひとつのわらび餅をヘラで作っているため、職人技が必要なお菓子(上写真④)。しかも賞味期限が20分と短く、出来上がってから食べるタイミングで味が変わるほど繊細なお菓子です。尾崎さんがいただいてる姿がとても美味しそうで、大洲に行かなくてはと思わされる逸品でした。
体験セットでは、賞味期限20分の美味しさを届けることは難しいので、創業1624年から代々受け継がれてきた大洲の銘菓、村田文福老舗の「月窓餅」を参加者のみんなでいただきました(上写真⑤)。国産の高級食材のみを使用し、こしあんを本わらび餅で包み、青大豆きな粉をまぶしています。大洲藩第2代目藩主、加藤 泰興公の大好物だったそう。
月窓餅はあんこがびっくりするほど美味しいかったです。しつこすぎない甘さと、滑らかな舌触りがいくつも食べたくなる味わいでした。袋には2つ入っていましたが、個人的にはあと一袋食べたかったです。笑
温泉ファンには欠かせない!有形文化財にも指定されている小薮温泉で、いもたきを堪能
ここで一度おはなはん通りを離れます。実は温泉も有名な大洲市。案内してくれるのはプロジェクトメンバーの二宮 美羽 さんです。
二宮 美羽(にのみや みう)さん:大洲エエモンオンラインツアープロジェクトメンバー/愛媛県大洲市出身。大洲市在住。大洲が出身地であるが、今回の企画に参画して知らなかったまちの魅力があったと振り返る。今回紹介した大洲のスポットはほんの一部。是非現地へ足を運んで五感で大洲を感じて欲しいと訴える。
二宮さんが訪れたのは、有形登録文化財にも指定されている小薮温泉です。旅館を案内してくれたのは女将の三井 久美子さんです(下写真⑥)。
明治9年に作られた建物は、今も綺麗に残されており(上写真⑦)、女湯・男湯共に風情ある温泉でした。女湯は龍の口からお湯が出ている立派な作りをしていて(上写真⑧)、男湯は檜風呂になっています(上写真⑨)。
温泉を後にして、向かった先は開放的な休憩所。隣には小薮川が流れていて、川の流れる音に癒される休憩所です。ここでは鮎を食べたり、いもたきを食べたりと多くのお客様が楽しまれるそうです。今回は予約数に限りのある囲炉裏のお部屋で古くから愛されているいもたきをいただきます。
参加している私も体験セットに入っていた、いもたきのレトルトをいただきました。甘くてねっとりとした味わいのいもたきは、年齢関係なく楽しめる味です。いただきながら、家族団欒で食べている様子が目に浮かぶようでした。
レトルトにもなっていて、全国どこにいても大洲のいもたきの味が楽しめるのは嬉しいことですね。ちなみに、小薮温泉でいもたきをいただくには前日までに予約が必要とのことです。
歴史ある倉庫をリノベーションしてオープンしたクラフトビール専門店と大洲市の観光名所の臥龍山荘から現代と昔を感じる
小薮温泉を堪能したら再度、尾崎さんがいるおはなはん通りに戻ってきます。尾崎さんがいたのは、2021年9月23日にオープンしたクラフトビール専門店のGaryu Brewing 臥龍醸造 です。ここは、大洲の歴史に関係する繭や木材の倉庫として使用されていた建物をリノベーションしたクラフトビールのお店です。
歴史を感じつつも、現代のクラフトビールを楽しめる観光スポット。大洲には昔からあるものをリノベーションしている建物が多くあり、肌で歴史を感じられるのが魅力ですね。
そこではプロジェクトメンバーの尾崎さんがビールの紹介と、大洲に行った時しか食べることができない「大洲コロッケ」を紹介してくれました。大洲コロッケは量産されていないため、大洲に訪れた時しかいただけないそう。美味しそうに食べている姿を見ていると、大洲に行きたくなります。
次に訪れたのは、大洲へ観光に来たなら外せないスポット「臥龍山荘」です。案内人は新田 伝弥 さんです(下写真⑩)。臥龍山荘は景勝地「臥龍淵」に臨む3千坪の山荘です。
新田 伝弥(にった でんや)さん:一般社団法人 キタ・マネジメント 事業第一課 観光施設係 係長 おおず歴史華回廊 認定案内人/大洲市出身。キタ・マネジメントに参画し、地域の歴史、文化、自然などの資源を守りながら、事業者と新たな価値を創造し、地域経済活性化をバックアップ。後世に価値ある地域文化を継承する活動に従事。今回は大洲市内でまちの魅力について観光案内を通して伝える。
まず門をくぐると、石積みが見えます。この石積みは、野面積み、末広積み、流れ積みという順番・方法で積まれています。この石積みの中だけで、船から月を見ている様子を表現している箇所もあり、趣を感じます(上写真⑪)。知らないと、気づけない可能性も高いので知れてよかったですね。
臥龍山荘のフロアには、日本全国で銀閣寺と臥龍山荘にしかない仕掛けがあるそう。それが「月光反射」です。月明かりが川に反射して天井に映り込む設計になっています。太陽の反射も美しく、是非月明かりも見てみたいですね。
今回のツアーの醍醐味・日本酒カクテル作りに挑戦!大洲の若者が考える日本酒カクテルから大洲の魅力に触れる
最後は、今回のオンラインツアーの醍醐味でもある「日本酒カクテル作り」です。大洲唯一の造り酒屋である創業100年を迎えた「養老酒造」へ二宮さんと訪れます。
養老酒造は、西日本豪雨で大きな被害を受け、当時は廃業も考えるほどだったそうです(上写真⑬)。そこから、大洲市内をはじめとした日本全国のボランティアスタッフたちの支えもあり、今では大洲の復興のシンボルとして知られています。
今回は、その西日本豪雨からの復興を機会に継ぐことを決めた4代目の山内 倫太郎さん(上写真⑫)と二宮さんと一緒に日本酒カクテルを作っていきました。場所は、新しく建設された養老酒造の蔵で行います(上写真⑭)。
今回使ったお酒は「風の里」。アルコールは高すぎず、甘くすっきりと飲める味わいの日本酒です。私はあまりお酒が強いほうではないですが、とっても美味しくいただくことができました。
日本酒の独特な飲みにくさを一切感じませんでしたね。カクテルも幸野梨園の梨ジャムを使い、さらに甘く美味しく仕上げていきます。4代目の山内さんがおっしゃっていた「20代の日本酒が苦手な方」にも絶対に楽しんで飲んでいただけるカクテルだったと思います。
出来上がってからは、プロジェクトメンバーの菅野 晟太さんがオリジナルカクテルの作り方をさらにレクチャーしてくれました。
フローズンのフルーツを使って作るカクテルはジャムとはまた違う美味しさを味わえるそうですよ。挑戦してみたいですね。
菅野 晟太(すがの あらた)さん:大洲エエモンオンラインツアープロジェクトメンバー/愛媛県松山市出身。東京都在住。東京で学生生活を送る中、地域外からの客観的視点で故郷を見ることができるようになって故郷の良さを改めて実感。今回のツアーを通じてまちの魅力をいろんな人たちに知って欲しいと話す。
ツアーがひと通り終わり、ツアーで見たことを題材とした認定試験も実施。あいにく好成績ではなかったのですが、他では味わえないワクワク感があって盛り上がりました。そうそう、盛り上がったと言えば最後の交流タイム。やのさんと直接お話する機会もいただきました。
やのさん:大阪から参加ということで、ちょっとオモロイことの一つや二つは即興できるんでしょうか?
私:いや(笑)、出身は神奈川県なので今はちょっと・・・。笑
と、そんな感じで、私は大洲市とはゆかりはないのですが、今回の企画のような面白いイベントにお酒を飲みながらほろ酔い気分で皆さんとお話をしながら、また現地のひとたちと交流出来たらいいなと思いました。
編集後記
菅野さんから紹介をいただいたあとは、みんなで作ったカクテルで乾杯しました。お酒を楽しみながら、最後はプロジェクトメンバーの3名が選んだ大洲市のベストショットを見せていただきました。
四季折々の美しい大洲の表情がみれて、3名の大洲への愛情や、大洲の魅力がさらに伝わってきましたね。是非、足を運んでみたいと思うオンラインツアーでした。
■企画・著作
工藤 菜穂 (Naho Kudo)
過去より今。今より未来にワクワクする人生にするためにインプットとアウトプットを繰り返し、将来は女性の選択肢が増える社会づくりと、地方・地域の魅力発信のブランディングのお手伝いをしていきたい。
life is design.常にクリエイティブに。
2021.11.6 オンライン取材
【監修・取材協力】
・大洲市役所 商工観光部 商工産業課 営業戦略係
・清水 実奈様
【グラフィックレコード】
・中村 沙絵 様