アイキャッチ用.jpg

全国
生産者と消費者をつなぐエシカルなオンラインマルシェ
旬の食材を大切にしながら目指すSDGsのゴールとは?

コロナ禍でデジタル化が進んでいる今、農業においてもネット販売を通して有機栽培で育てた野菜や米といった食材をベンチャー企業や大手の事業者が、ネット上で追求する取り組みが増えています。

 

その中で、物腰の柔らかい個性を活かして生産者と協力してオンラインマルシェを展開し、集客に力を入れている人がいます。

 

今回は、試行錯誤しながら生産者と消費者をつなぐプラットフォームづくりに力を入れているビオファーマシー 代表の金田 恵美(かねだ えみ)さんにお話を伺い、ベンチャーや大きな会社とは違うやり方で、普及的な活動を生産者と展開している様子をお届けします。 

 

MERCi MARCHEはこちらから

MERCi MARCHEポータルサイトへ

米の生産者、網本さんとのつながりが、オンラインマルシェで健全な生産と消費を循環させる場を築く

金田さんは、生産者と消費者をつなぐ数あるプラットフォームの軸をどうしていくのかをすごく悩んだという。資金力も人材もない中で、小さいところから始めて、「どんなことができるんだろう」と考えていた。

 

色んな生産者の方の話を伺うのを切り口に、たくさんのセミナーにも参加して思ったのは、農業は環境問題と生物の多様性と密接に関わってくることだという。その中で、「オンラインマルシェ」開設に至った経緯はどんなものだろうか?


「農業に触れるきっかけになったのは、数年前に友人に誘ってもらって、長野へ農業体験へ通ったことでした」(金田さん)

金田恵美さん

金田 恵美(かねだ えみ)さん:ビオファーマシー 代表/2021年5月から環境保全・再生型農業で栽培された作物に特化したオンラインマルシェ「MERCi MARCHE(メルシーマルシェ)*1」を立ち上げる。その中で第1弾の商品として、生物の多様性や生態系を重視している米生産者、網本さんが経営する「有限会社 アールキューブエコ」で取り扱うの玄米「欣(よろこび)の香り」を販売。地球環境だけでなく生き物についても大事に考えながらマルシェに力を入れている。

*1 MERCi MARCHE

販売サイト:https://merci-marche.stores.jp/
メルシーマルシェについて>https://marche.biofarmacy.jp/p/00001

メルシーマルシェの選ぶ基準について>https://marche.biofarmacy.jp/about

instagram>https://www.instagram.com/lemicore/

Facebook>https://www.facebook.com/bio831/

LINE公式>https://lin.ee/ZWGFFrQ

「そこでの気づきや学びで体と心の変化を感じるだけでなく、何より美味しい野菜に感動して、その秘密は何だろうという好奇心から『農』に興味を持ちました。

 

自分なりに色々な角度から農業について考えていく中で、これまでの農業の進め方や在り方が、気候変動や生物多様性、種の損失だけでなく、さらには食料の持続可能な調達や食文化にまで大きく影響していることを学びました。

 

そしてその時、自分の中で軸となる部分が明確になり、

 

・土の再生

・環境保全や再生

・生物の多様性

・生態系の守り方や循環

・気候変動

・種の保存

 

という切り口で取り組むことを決めました。まず何ができるか考えた時に、健全な生産と消費を循環させることが重要だと思い、その第一歩として、環境や生きもの、そして、人にも優しい農作物を販売するオンラインマルシェを立ち上げることにしました。


その中で、お米を栽培されている網本さん(網本さんの記事は近日公開!)とご縁をいただきました。日本は弥生時代から稲作文化が始まり、長い歴史の中で米が食べられてきて日本人の遺伝子、体を作ってきたものだと思っています。そのお米の玄米から販売を始められたのも自分の中ではとても意味深く感じています」(金田さん)

2.jpg

人によって違う「安心安全」の定義を理解し、生産者の情報を伝え、消費者に選んでいただくこと。

なるほど。金田さんの取り組みを拝見して思ったのは、オンライマルシェ立ち上げに際し、試行錯誤されてたと思うがその点はどうだろうか?

 

「プラットフォームを作る上で試行錯誤したのは、このコンセプトを体現する基準づくりです。農業のバックグランドがない中で飛び込んだので、専門知識も乏しく、どんな基準で生産者の方を探して農作物を選べばいいのか結構悩みました。

 

最初は、『安心安全』を追求することを考えるなかで、JASを取得していない場合、有機JASをベースに厳しい条件を付け加えたりもしました。

 

正直、安心安全について考えれば考えるほど難しくなってしまって。でも、何が重要であると冷静に考えた時に、人によって安心安全の定義が違うことに気がついたんです」(金田さん)

 

ありのままの生産者の情報を伝えて、消費者に選んでいただくことが自分にできることだと話す金田さん。

S3.jpg

このプラットフォームを立ち上げようと思った「環境の保全や循環、生物多様性の維持に努めている生産者を応援したい」という原点に還って、自分自身が大切にしていきたいことを表現しようとしたという。

 

そこから思考を切り替えて、自分の家族、友達にも自信を持って勧められるもの、自分自身が大切にしたいこと、「自分がこれなら!」と納得できる基準を作ることを第一に考えて進めることにしたのだ。

 

「生産側ではどういう農業の在り方が良いか考えた時

 

・環境負荷が少ないこと

・生きもの・生態系が豊かで循環を大事にしていること

・肥料を使う場合は、適切な施肥管理の元に健康な土づくりができること

・微生物の働きと植物の力を最大限引き出し栽培すること

・堆肥原材料はなるべく地域資源を調達し賄うこと

 

この5点を軸に考えたいと決心しました」(金田さん)


これらを実践する知識・栽培技術ともに高い生産者とこれからもつながっていくことが今後の課題と位置づけ、力を入れて取り組んでいきたいという。

3.png

生態系を守る生産プロセスと私たちの消費が循環することでSDGsの取り組みにつながる

金田さんは、オンラインマルシェが持続可能な開発目標(SDGs)へつながる形を大切にされているという。それはどんなことだろうか?

 

「私のプラットフォームの取り組みは、特にSDGsの目標12番にある生産側の『つくる』責任、消費側の『つかう』責任が、コンセプトとして重なり、いちばん分かりやすく体現しているゴールです。

 

私たちは日々食べているものを辿っていくと、太陽・水・土・微生物・生きものなど、全て自然の恵みや営み、命の循環によってつくられ、その恩恵を享受しています。

 

資源や生態系を守ることは、私たちが生命を維持していく上でも密接に関わっていると言えます。環境や生き物を思いやることは、結果的に自分たちの健康や幸せつながってくることだと考えています」(金田さん)

金田さんの取り組みが結果として、このオンラインマルシェによって、生産者と消費者と接点ができて作物を作ることとそれが消費される循環ができて地域に良い循環ができるのではないだろうか。

S1.jpg

自分たちが食べている米も野菜も、微生物や生きものの働きによって養分の循環ができるからこそ健康に育てることができる。

 

しかし、今の農業は農薬や化学肥料を用いた慣行栽培が主流で、微生物や生物の多様性が失われてしまっているのも事実。

 

普段、人々の口に入る農産物が、どういった環境で作られる中で、微生物や生きものが関わり、人に優しい栽培がされているのかというストーリーを消費者が知る機会は少ない。

 

このため、どれも同じ食材として認識され、価格で選ばれてしまう傾向にあると話す金田さんは、消費者の選択肢自体も狭まっているのではないかと感じているため、その背景を伝える役目があるという。


「このプラットフォームを通じて、環境、生きもの、人にも優しい生産と消費の循環による土の再生で私たちの健康にも繋がり、さらには持続可能な農業が世の中に広がる社会につなげていけたらと思っています」(金田さん)

4.png

誰でも参加できる農業体験を通して、旬の食材の美味しさを知り、ありがたみを知る

昔は季節ごとの旬を大切にしながら人々は農産物をいただいていた。季節のその時にしか採れない食材が本来の味わうべき美味しさではないか。

 

現代は有機農法を取り入れて育てられた作物に触れる機会が少しずつではあるが浸透している。その中で地域よりも都市部で便利な環境にいる人たちに訴えたいことは何だろうか?

 

「私の実体験の話ですが、まずは気軽な気持ちで農業体験をしてもらうことが良いかなと思っています。有機農業であれば化学的なものは使用していないので、お子さんがいらっしゃる方も安心して一緒に参加できると思います。

 

人それぞれ何を感じるかはさまざまだと思いますが、私の場合、農業体験を通して色々な学びや気づき、心と体の変化を体感しました。

 

まず何と言っても、お日さまの下で綺麗な空気を吸い、土に触れていると不思議と疲れた心も体も癒されると思います。私自身もそれを体感して、本当に『農セラピー』だなと実感することができました」(金田さん)

 

実際に、生産者とふれあいながら農作業してみると、手間暇かけて作物ができていることが分かり、食べ残しや腐らせて捨ててしまうことのないように意識も変化。感謝しながら大事に食べようという気持ちがあふれて心も体も満たされ、幸せになるんだと話す金田さん。

 

美味しくて鮮度のあるうちに食材を使い切ろうという考えになり、子供にとっても農業体験は、五感を使って体験・体感して食べる食育となる、とてもいいツールだという。

 

「スーパーもいつも色々な食材が手に入ってとてもありがたい存在なのですが、旬で採れたてのお野菜には味も栄養価も敵わないと思っています。


純粋に美味しいし、野菜の味わいも栄養価も高くて良いこと尽くしだと思っています。同じお野菜でも、どんどん味も時期によって変化していくので、旬のお野菜は本当にその時しか食べられない一期一会なんだなと思います」(金田さん)

5.jpg

旬の野菜が、豊かな暮らしに通じるだけでなく、体調のバランスを整える役割を果たすことを訴える

旬野菜は季節を感じられるだけではない。古くから大切にされてきたと思うが、春にはデトックス効果のあるもの、夏は水分補給や熱を下げ、夏バテ防止に効くもの、冬は風邪予防で体を温めるなど、体調のバランスを整えることができることが旬の野菜が果たす役割だ。

 

いつでも食べられる野菜を買うよりも、その時にしか食べられない食材との出会いを楽しむことで豊かさを感じることができるのが大事だと金田さんは言う。旬の野菜をうまく取り入れる昔から人々が大事にしてきた食文化をもう一度考えるときがきているのかもしれない。

 

「長い歴史の中で米食を取り入れてきた日本人は、その栄養で遺伝子や体を作ってきました。でも最近では米を抜いたり、糖質ダイエット、パン食などを取り入れている人たちもいます。私はそれでは元気にならないと思っています。

 

中でも、ミネラル、ビタミン、食物繊維など栄養バランスも良く、白米よりも栄養がある玄米はエネルギーの源になる『完全栄養食』と言われるほどで、できればそのまま精米せず食べてもらいたいです。

 

病気で食事の制限がある方は、ぜひ医師の方に確認していただきながら、取り入れてみていただけたら嬉しいです」(金田さん)

 

金田さんは毎日玄米を食べているという。普通に炊くときもあれば、栄養価の高まる発芽玄米にして小豆と黒豆を混ぜて炊き込み、2~3日保温をして発酵玄米(別名:酵素玄米)として食べることもあるそうだ。

6.jpg

オンラインを活用しながら、農業について知ってもらうだけでなく、ハブ役となって有機農業へ転向されたい方の受け皿として協力し合う

そんな食の大切さを身をもって訴える金田さん。最後に今後チャレンジしてみたいことを伺って結びとする。

 

「コロナがきっかけで、物理的な距離は関係なくオンラインでも抵抗なく、気軽につながれるようになってきたと思っています。

 

もちろんリアルで直接会う良さもありますが、まずはオンラインで知ってもらう場をつくったり、生産者と一緒にイベントを立ち上げて農業について知ってもらいたいです。

 

私の想いに共感して取引させていただく生産者の方々は、米・野菜・果物それぞれの専門分野も異なり、農法も多種多様で、私がハブとなっておつなぎすることで有機農業へ転向されたい方の受け皿として協力し合うことができるのではないかと考えています。


また、知識や栽培のノウハウを持ち寄って色々な実験や分析を集めていくことで、収量を確保することはもちろんのこと、より環境負荷がなく健康で美味しい農作物を再現性高く作れるようになるのではないかと思っています」(金田さん)

7.png

新たな情報発信ツールが、生産者の人柄や想い、こだわりを消費者の方へ届ける

実際に田んぼや畑からライブ動画配信をしている生産者もよく見かけるようになり、生産者自身が自分の日常、個性や強みを自由に表現している時代になった。中にはバーチャル農園ツアーを開催している生産者の方もいて、まるで農園に行って収穫しているかのような擬似体験ができる取り組みもある。

 

Clubhouseという新たな音声SNSも出てきて、気軽に意見交換できるようになったり、消費者とのつながりやコミュニケーション方法も多様化しており、色々なアイデアを出し合って、生産者の人柄や想い、こだわりを消費者の方へ届けられる機会を作りたいという。


マルシェの基準づくりにあたって、生産者の網本さんには何度も相談にのっていただき、毎回丁寧にフィードバックいただきました。そのおかげで形にすることができたと思っています。この場をお借りしてお礼を申し上げたいです!」(金田さん)

8.jpg

網本さんご夫妻

MERCi MARCHEはこちらから

MERCi MARCHEポータルサイトへ

編集後記

オンラインでつながったことから今回の取材の機会をいただけた金田さんは、生産者や消費者を大切にし、きめ細やかさや物腰の柔らかい応対で他にはない個性的なオンラインマルシェを展開していて、今後の成長がとても楽しみなところ。

 

今後も弊社webサイトにも金田さんのマルシェのコンテンツを充実させ、より多くの人たちに金田さんや生産者の想いが詰まったお米や野菜を食べて欲しいと願っています。これからもMerci Marcheを応援していきます!

NAKANO TAKAYUKI
企画・制作:NAKANO TAKAYUKI

町おこしロケーションタイムス創設者。

写真や映像を通じて地域を発信し、地域と地域を結び、人と人を繋ぐ活動を展開。

メルシーマルシェの応援画_edited-2.jpg

【取材データ】

2021.05.29 オンライン

【監修・取材協力・資料提供】

・ビオファーマシー 代表 金田 恵美様

・有限会社 アールキューブエコ 網本 朝香 様

取材にご協力いただきました関係各諸機関のほか、関係各位に厚く御礼申し上げます。