093A2435.JPG

漁師という生産者が地域内外に「富山の旨い」を届けたい!
〜目的と計画をもって移住することが地域で根付く秘訣〜

富山県朝日町

今回は徳田 聖一郎さんに
お話を伺いました
Image-empty-state_edited.png

徳田 聖一郎(とくだ せいいちろう)さん:JF泊(富山県朝日町泊漁協協同組合) 漁師

愛知県豊田市出身。2018年6月、総務省の地域おこし協力隊制度を活用し富山県朝日町へ移住。大手製造業を経て富山県朝日町に移住して JF 泊(富山県朝日町泊漁業協同組合)で漁師と して働く中、空き時間を利用して自分で獲ったモノを加工から販売まで手掛け、人々に「旨いを届ける」形で幸せを提供していけるよう自走化に向けて漁協と共創しながら日々邁進中。素潜り・料理が趣味。

泊漁協 HP :https://www.tomari-gyokyou.com/
instagram:https://www.instagram.com/sei_toku_maru/
食べチョク:https://www.tabechoku.com/products/42832

「人に喜んでもらうために動いていれば、良い循環が生まれる」

そう胸を張って答えてくれたのは、総務省の地域おこし協力隊制度を活用し、愛知県から富山県朝日町へ移住した、徳田聖一郎(JF泊 漁師)さんです。


地域おこし協力隊の任期満了後も、漁師として朝日町で活動する徳田さんは、これからどのように地域で生業を見い出し暮らしていくのか。そして現在はどのように地域で根付いているでしょうか。

自分が本当に美味しい・食べたいと感じるものを消費者に届けたい気持ちで、日々試行錯誤を重ねる


愛知県で自動車産業大手から富山県朝日町に移住して漁師になった徳田さんは、自分の海で獲れる魚介類がとても新鮮なので映える料理にするより素材そのものの美味しさを味わって欲しいという。


「販売するものは、自分が美味しいと思うモノ・食べたいと思うモノを販売しています。通販では、シーズンによって変わりますがカニやイワガキ、モズクが主流です。あとは、自分が刺し網で獲った魚も販売しています。これからのシーズンは脂がのったノドグロが獲れますよ」(徳田さん)


「注文が多いのは、”カニ”ですね。カニに関しては、生の状態での発送か茹でた状態での発送方法を選べるようにしていますが、生の状態での注文が多いです。


刺身にしたり、鍋にしたりするには”生”が一番なんです。私はよく鍋にして食べています。


あと人気があるのは、”イワガキ”です。私は生での販売を行っています。イワガキは、限られた水域、そして水質の良いところで獲れたモノを提供しています」(徳田さん)


よくスーパーで見かけるカニは外国産のものが多いが、国産のものを手ごろな価格で食べることができるのは、消費者目線ではとても魅力的だ。徳田さんの自分が美味しいと思うモノを届けたい気持ちが伝わってくる。


「獲れた魚はそのまま販売しているので、ある程度自分で魚を捌ける人向けでしょうか。今後は需要があれば、下処理をした魚の販売も考えています。あとは干物ですね。自分が獲った魚でできる範囲でやっていきたいです。」(徳田さん)


美味しいモノをより多くの人に届けるために、試行錯誤を重ねられているようだ。


自分たち漁師で獲ったカニや魚を使って豊かな暮らしを営む。舟盛の刺身は徳田さんが自ら捌いて盛り付けたもの。


地域で生きていくために必要なことは「チャレンジ」し続けること


地域おこし協力隊として移住されてきた徳田さん。任期を終え、移住して4年が経った現在、「自走化」に向けての活動について動いている。


「協力隊を退任した後、独立してからは地域の特性を活かし活動を続けてきました。生活は安定しているので、今後の大きな目標は特にありませんが、強いて言うなら今の活動を続けることです。漁をして美味しいモノを届けて人に喜んでもらう。そのために、インターネットの販売ではさらに取扱いできるモノを増やしていくこと、加えて、SNSに力を入れていこうと考えています。」(徳田さん)


移住を考えている人にとっては、羨ましいと思う反面、漠然とした不安がよぎることだろう。徳田さんも地域での生き方に不安を抱えているのだろうか。



「不安は特に感じていません。『何とかなるかな』と考えています。そして、今やっていることが失敗しても良いと思っています。何故かと言うと、それがダメだったと分かり学びになるから。やらなかったら、それが良いかどうかも分かりませんからね。


そこから学んで、次に活かしていければ、失敗しても問題ありません。やらずに後悔するよりは、やって後悔した方が良いですし、今は何でもチャレンジしたいと思います。」(徳田さん)


失敗を失敗で終わらせず、次の活動に活かすことが重要と語る徳田さん。普段から意識している方もいると思うが、実践できている方はどれだけいるだろうか。住む場所がどこであろうが、誰もが生きていく上で大切な考え方であることは間違いないが、実践することはとても難しいことである。


地域で「等身大の生き方」を目指すこととは自分の使命を全うすること


地域で自分らしく生きていくためには、どのような工夫やコツがいるのだろうか。


「私は自分がしたいことをやっているだけです。移住して特産物のインターネット販売を行っていますが、自発的に新聞などのメディアを使って活動を広めるようなことはしていません。地元の人との関わりは、例えば目の前の道を散歩している人と話をしたりしています。そんなことでと思うかもしれませんが、やはりそういった小さなところから関わりは広がっていきますよ。


ある朝、刺し網漁で水揚げされた魚を出荷する様子


今後、地域で自分のモノを販売するなら、近くのお店にいって直接お話をする。それだけでみんな協力してくれるのではないかと思います。


そして、地域の人は面白い方が多いですよ。都市部と違って自分の事業を持っている方が多いので、生活力のある方がたくさんいらっしゃいます。」(徳田さん)


普段から実直に自分のやることをやっていれば、周りは自ずと協力してくれると話す徳田さん。SNSやメディアが発達した現代だが、無理に活動を広めようとせず、自分の使命を全うし、注力することが「等身大」の生き方につながるのだと思う。


とはいえ、今の生活を手に入れるまでは、苦労もあったことだろう。まちには今まで多くのプレーヤーが外から入り込んできたが、今もなお地域に根付いている人は限られる。


「私以外にも、過去に朝日町で挑戦されていた人たちはいますが、出て行かれる人もいます。


目的と計画が必要だと思います。自分がその土地で何をしたいのか、どんな生活をしたいのかのイメージを持つことが大事です。都会に比べると、どうしても働く場所は少ないし、しっかりした目的がないと住み続けるのは難しいですよね」(徳田さん)


”豊かな暮らし”とは、自分が楽しむことで良い循環を作れば自ずと見えてくるもの


最後に、徳田さんの地域で挑戦することを伺った。


「嫌な仕事をしてお金をもらうよりは、好きなように暮らして美味しいモノを食べる。そして、その旨いモノを届けて、喜んでもらう。そんな風に自分が楽しみながら、人に喜んでもらうために動いていれば良い循環ができて、結果的に自分の生活も良くなるのではないかと思います。そのためには、少しの努力が必要です。でもそれは、自分のために自分で学びに行っているから、全然苦にならないはずです」(徳田さん)


徳田さんにとって”豊かな暮らし”とは、何よりも自分が楽しむことなのだろう。他人からの見え方や評価ばかりを気にしがちな現代で、ハッとさせられる考え方だと感じた。




結び-Ending-

地域での等身大で自分なりの”豊かな生活”を我々に見せてくれた徳田さん。


都市部での生活と地域での生活をどちらも自らが体験しているからこそ、聞くことができる言葉をいただきました。


移住に足踏みをしている方の背中をそっと押してくれる、そんな取材でした。

佐々木さん.jpg

■企画・著作
佐藤 将丈(Sato Masatomo)
山形県出身/大阪府在住
いずれは地元山形を盛り上げるお手伝いをすることを目標に、日々奮闘中。
好きなことは、アニメを見ること。お酒を飲むこと(嗜む程度に)。

【取材データ】
2022.5.3~5 ※現地取材
【監修・取材協力】
・JF泊(富山県朝日町泊漁業協同組合)
・脇山 正美 様
・徳田 聖一郎 様
​※現地取材においては感染対策を徹底の上、取材を行っております。

取材にご協力いただきました関係各諸機関のほか、関係各位に厚く御礼申し上げます。