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体験記

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山口県萩市・阿武町

移住者の豊かな暮らしに触れる「豪華ブランド肉を味わいながら山口県萩市・阿武町を訪れる!オンラインツアー」

​~地域の当事者になった人たちの想いとは~

コロナ禍で移動が制限され、リアルな旅が難しい今、注目されているのが、zoomなどのオンラインツールを使った新しい旅の形「オンラインツアー」です。自宅にいながら、各地の魅力や地域の特産品などを手軽に楽しむことができます。


今回はツアー会社『あうたび合同会社』が主催する“豪華ブランド肉を味わいながら山口県萩市・阿武町を訪れる!オンラインツアー”に参加しました。

自宅からゆったり気楽に参加できるオンラインツアーで「人」と出会う旅

折しも開催日の前日である2月14日、東北で大きな地震が発生。幸い大きな被害のニュースは入ってきてはいないものの、「あうたび」は東北との縁もゆかりも深く大変心配だと、代表社員兼CEOの唐沢さんは冒頭に説明。

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唐沢 雅広(からさわ まさひろ)さん あうたび合同会社代表社員兼CEO/旅行業界歴は20年。都内の旅行会社で企画などの経験を経て取締役に就任。その後、自然食の販売事業など新規事業の立ち上げに携わる。独立後、起業セミナーや交流会に参加する中で、脱サラして田舎で農業とクラフトビールやワインを作る人と出会い、その人の田舎を訪れた際のおもてなしなどの体験に”人に会いに行く”ツアーを作りたいと2016年に「あうたび」を設立。

今回、山口県の旅の司会進行を務めるのは添乗員のかなえさん。まず始めにオンラインツアーを楽しむためのアドバイス。

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白石 佳菜江(しらいし かなえ)かなえさん あうたび派遣添乗員。愛称はかなえ/東京都出身。2005年にスリランカへ初めて渡航。その後、現地NGO、現地旅行会社にインターンとして勤務。日本とスリランカの旅行業界の関係性を中心に大学にて研究を経て大学卒業を機に、日本のスリランカ専門旅行会社勤務。大学院では日本人旅行者のスリランカ観光をテーマに研究。現在もスリランカとの関わりしろを大切にする中、あうたびでは、ツアー中のお酒を愛し笑いを誘うキャラクターの良さが人気を買っている。

ツアーは3.5時間。他オンラインツアーと比較してかなりの長旅だが、途中で離席して家事や他の事をするのもアリで、もちろんお酒を楽しむのも大歓迎!今回のコースはアルコールセットとノンアルコールセットが用意されています。

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ツアーの参加には1つのアカウントにつき1つの地域応援セットの購入が必須です。応援セットの中身は価格によって異なります。

 

今回のツアーは贅沢に一番高価なCセットにしました!

気になる内容とは・・・

 

・三好Black 720ml (阿武の鶴酒造)

・東洋美人 地帆紅 720ml(澄川酒造)

・阿武の無角和牛 200g &萩のむつみ豚 350g(萩ミート販売)

・キウイフルーツ<東京ゴールド&レインボーレッド> 各2個(藤井にじいろ農園)

・さしみ竹輪「漁火」3本入&萩ごぼう天 3枚入(三好蒲鉾)

・辛味柚子胡椒 90g(柚子屋本店)

・あぶれーぬ<キウイ&梨> 各1個(あぶホームメイド)

 

ちなみに、この中の無角和牛には個体識別番号が記載されており、インターネットで出生情報など確認ができます。


さて、今回もうひとりの添乗員として、この旅をサポートするのは東京都内で山口県の移住相談員をしている「やまぐち暮らし東京支援センター」の平尾さん。山口県の魅力を知り尽くしたエキスパートです。

平尾祐子さん

平尾 祐子(ひらお ゆうこ)さん NPO法人 ふるさと回帰支援センター やまぐち移住コンシェルジュ 。愛称はゆうこりん/山口県出身。東京の有楽町にある「やまぐち暮らし東京支援センター」にて山口県の移住相談員として活躍中。

今回は、山口県萩市と阿武町の魅力を山口県のPR本部長のちょるる(写真左)と、萩市のキャラクターである萩にゃん(写真右)と共に素敵な笑顔で伝えてくれます。

萩へおいでませ!豊かな生活を送る移住者の姿

さぁ、いよいよ出発。まず集合場所の「萩バスセンター」前からツアーはスタートします。

 

このツアーは事前にツアーオリジナルのzoom背景画像をダウンロードすることが可能。私も早速利用しましたが、訪れた先々で背景を変えてその場の雰囲気、臨場感、一体感を楽しむ事ができます


萩市の紹介をしてくれるのは、萩市役所 おいでませ、豊かな暮らし応援課のえびちゃんこと、えびすさん。明るい笑顔でツアーを盛り上げます。

えびすさん

えびすさん 萩市役所 おいでませ、豊かな暮らし応援課 職員 愛称はえびちゃん/このツアーは交流、移住、定住促進の一貫であると、始めにえびちゃんはツアーの趣旨を説明。

「ぜひ萩市に行ってみたいと思ってもらえたら、幸いです」(えびすさん)

 

そう話すえびちゃんは、「まずは場所の確認」と、用意していた山口県の白地図を使い、萩市と阿武町の場所クイズを出題。チャットには正解が多数書き込まれ参加者の地域愛を感じます。


続いて、萩市で活動する移住者の二人を動画で紹介してくれました。一人目は園田さん。6次産業化などの事業をメインに活動中

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中原木材工業でスギ、ヒノキなどの廃材を活用したフォトフレームを制作し、写真の経験を活かして旧三浦金物店での写真館をされています。館内の椅子などの木工製品も手作りされたのだとか。


二人目は須佐湾エコロジーキャンプ場の運営を行っている小田さん。素敵な食器なども1個10円からレンタルが可能で手軽にキャンプできる施設。

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目の前には須佐湾の絶景が広がります。小田さんはこの施設を気軽に楽しんでもらいたいと素敵なウッドデッキを3人で手作りしたのだそう。

 

萩市で活躍する移住者、そしてえびちゃんに会いに行きたくなりました。

つのが ないのは おいしいシルシ!希少品種の無角和牛

続いて向かったのは阿武町。まずは阿武町について、阿武町役場まちづくり推進課の茂刈さんと井上さんがほのぼのした動画で紹介。

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写真左から>井上さんと茂刈さん 阿武町役場まちづくり推進課/おふたりは和やかな雰囲気で阿武町の各地を紹介。ゆるりとした掛け合いにはみんな微笑えみ、「つのが、ないのは、おいしい、しるし!」と素敵なキャッチフレーズとポーズを教えてくれ、ツアー途中には、みんなで一緒にこのポーズをとる場面も。

今回訪れたのは、標高400mの中山間地域にあたる福賀地区。そこの無角和種振興公社で牛の飼育に携わる松村 直樹さんを紹介してくれたのは、神奈川県からの移住者、藤尾 凛太郎さん。後ろからは「モォー」という牛の鳴き声が聞こえてきます。

 

カメラが遠くを捉え、松村さんが大量の牧草を手に牛を引き連れて登場してくれました。

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写真左>藤尾 凛太郎(ふじお りんたろう)さん 愛称はりんちゃん/総務省の地域おこし協力隊の制度を活用して神奈川県から阿武町へ移住。山も海もある自然豊かな阿武町は「PRがとても上手」とその魅力を話しました。現在は無角和牛の魅力などの情報発信をメインに活動。


写真右>松村 直樹(まつむら なおき)さん 愛称はまっちゃん/「山口県にしかいない貴重な無角和種の飼育や繁殖に携わりたい」と山口市から阿武町へ移住。無角和牛の好きなところはお尻のもものあたり。りんちゃんとは年齢も近く、共通の趣味である釣りにも一緒に出かける仲。

牛は角を切ってしまうと聞いたことがあるかと思いますが、この無角和種は産まれたときから角がありません。角のないアバディーンアンガス種と黒毛和牛のかけ合わせで、角のない牛が生まれたのです。

 

山口県阿武町の無角和種100年以上も伝統があり、そしてなんとこの無角和牛、現在では山口県内でしか見られないとても貴重な牛です。

 

しかもこのツアーでは大変貴重な無角和牛をいただくことができます!事前に届く地域の特産品はツアーの楽しみのひとつ。

 

「現在、2名で133頭もの牛の世話をしています。流通とか販売や情報発信はりんちゃんに任せて、僕は牛の繁殖と飼育をしっかりとがんばっていきます」(松村さん)

 

無角和牛を特産としてPRしていくために飼育してくれる人がいないと成り立たない。僕は売る事やPRを頑張ります」(藤尾さん)

 

同年代のふたりは息がぴったり。このふたりが担う無角和牛のこれから、楽しみと期待とワクワクが広がりますね。

地域愛にあふれるUターンがつながりを広げ、ワクワクがとまらない「まち」

次に訪れるのは萩市の「美容室kilico」さん。出発したバスセンターのすぐ近くにある古民家をリノベーションしたおしゃれなお店です。

 

「次はようやく乾杯しますよ~」と、かなえさんの案内に、特産品の日本酒とコップをいそいそと用意します。

 

素敵な店内で出迎えてくれたのは、萩ミート販売の岡崎さんと美容師の内田さん。お二人の呼び名は「たけちゃん、なおきで!」と岡崎さんが乾杯の音頭を取りながら紹介!


山口県は酒処としても全国的に有名なだけあり、日本酒はとてもおいしい!岡崎さんは萩市の澄川酒造さんの日本酒「東洋美人 地帆紅」について、数々の受賞歴に加え、ロシアのプーチン大統領からも高い評価を受けたことを教えてくれました。

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写真左>岡崎 健志(おかざき たけし)さん 有限会社 萩ミート販売 取締役/特産品のお肉(無角和牛とむつみ豚)を用意。9年間ハワイでスポーツチームのマネジメントなどの経験を経て萩市にUターンし、家業を引継いだ。「今度は参加者としてもあうたびツアーに参加したい」とも。


写真右>内田 直己(うちだ なおき)さん 美容室kilico 店主/山口市の美容室で働き6年前に生まれ育った萩市で老後も過ごしたいと思いUターン。美容室kilicoをオープン。もとは古着屋だった建物をリノベーションした店内はDIYした箇所も多く、机なども手作り。

「萩市はこの辺りです」と地球儀を使って萩市の場所を紹介し、参加者の笑いを誘ったおふたりは同級生。近くには、整体師や整骨院、160年続く老舗の蒲鉾屋さんを継いだ方など、Uターンの同年代が多く「楽しい友人ばかり」と話します。地域愛があふれているのは、それだけ萩市が居心地の良いところなのでしょう。

 

今回の特産品のひとつ「むつみ豚」は萩のブランド豚。岡崎さんはひとつひとつ丁寧に「おいしくなあれ」と魔法の言葉をかけながらカットされたむつみ豚をトレーに並べてパッケージングしていました。

 

思いを込める。これは美味しさの秘訣のひとつかもしれませんね。おすすめの食べ方はしゃぶしゃぶ。特産品のうちのひとつの柚子胡椒との相性も抜群です。私もシンプルにお鍋にして大根おろしを入れたポン酢と柚胡椒でいただきました。脂の甘みが上品でとても美味しかったです。

お試し住宅で田舎暮らしと生活にしっかり向き合う

続いて向かったのは、阿武町の「お試し住宅」(阿武町移住体験滞在施設)。木造かわらぶき2階建ての5LDKを阿武町役場まちづくり推進課の井上さんが紹介してくれました。

 

家具家電付きの他、wifiも完備なのですぐにでも生活が始められます。最長1年利用可能で、阿武町の四季を体感し、移住に、そして阿武町に、しっかりと向き合うことができる環境ですね。

 

1階のキッチンでは、先ほど無角和牛を紹介してくれた藤尾さんがエプロンを着て何やら用意を始めています。

 

そうそう、ツアーの行程表に記載されていた「無角和牛のおいしい焼き方」講座がいよいよ始まるんです!


藤尾さんと助っ人の学校栄養士の中村先生によって進行。素敵な笑顔で「つのが、ないのは、おいし〜い、シルシ!」と盛り上げてくれます。今日は中村先生と一緒にりんちゃんから焼き方を教わります。

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写真左>中村 仁美(なかむら ひとみ)さん 阿武小学校 栄養士/中村先生は学校給食の栄養士。未来をつくる子どもたちにも無角和牛の魅力を伝えたいと、分かりやすくイラストで教えたり、学校給食に取り入れたりと楽しくて美味しい給食時間を大切に活動中。

焼き方のコツは頻繁にひっくり返し、表面が灰色になったら一度火から下ろし休ませること。旨味をぎゅっと閉じ込めます。


焼き上がりの見極めはお肉を触って親指と人差し指でOKマークをつくったときの親指の付け根あたりの硬さがベスト。熱々を食べたいところですがお肉を落ち着かせて味がしっとり馴染むのを待ちます。

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私もツアー参加中に一緒に焼いてみたのですが(写真)、やや火が通り過ぎてしまいました。でも、しっかりした弾力で食べ応えがあり、少量のお塩でぐーっと旨味が増します。柚子胡椒を少量つけて食べても激ウマです!

制限された中で創りだされる地域の「食」と、そこに関わる「人」

次に訪れたのは、海も山も近い萩市の明木地区。地域活動をしながら古民家をリノベーションし、「彦六又十郎(ひころくまたじゅうろう)」というカフェレストランの開業に向けてがんばっている岡本 智之さんにお話を伺いました。

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岡本 智之(おかもと ともゆき)さん 萩市 旭総合事務所 産業振興部門所属/岡山県出身。総務省の地域おこし協力隊の制度を活用して萩市へ移住。海外各地のレストランでの経験を活かして、パエリア巡礼などのイベントを開催。現在レストラン開業のために明木地区で古民家をリノベーション中。

岡本さんはイタリアやスペイン、ポルトガル、ペルーなど海外で料理の経験を積まれ、オーストラリアでは英語の先生もしていたそうです。

 

萩市を訪れたきっかけは、現地の知り合いに会った際、「自分のテーマやスタイルに合うと思った」のだとか。

 

絶賛リノベーション中のお店の窓枠や壁など、ほとんどが手作りという岡本さんは「すごいがんばってるんですよ。もっと褒め言葉がほしい」とユニークで気さくで親しみやすいお人柄。

 

「大変だけど、古いものに触れていると昔の人に触れているような感じです」(岡本さん)

 

そんな岡本さんのように萩市で活躍する移住者は、萩市役所の方々も各所でサポートをしています。そのひとりが剱物(けんもつ) 佳代子さん。

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釼物 佳代子(けんもつ かよこ)さん 萩市役所 おいでませ、豊かな暮らし応援課 課長補佐/萩市への移住定住の促進、移住者の受け入れや活動支援を行なう。今回は自宅勤務のために自宅から萩にゃんとともに参加。

素敵な人たちが活躍されている萩市。ヒト・モノ・コトをつなぐ充実したサポートも、暮らしやすさのひとつなのでしょうね。

 

なんとツアー参加者には、東京都内から萩市への移住が決まっているという方もおり、懇親会では、人と人が繋がり、さらに広がりそうな素敵なシーンにも出会えました。

地域の人、移住した人、移住したい人、地域をもっと楽しみたい人、いろんな人に出会う「あうたび」

ツアースケジュールはここで終了。しかし楽しみは終わりません。参加者含めて交流ができる懇親会もこの「あうたび」の楽しみのひとつ。参加や退出は自由です。

 

参加者も主催者もホスト側も皆さんとにかく魅力的。気がつけば三次会と楽しい時間はあっという間。最後まで参加したからこそ聞けた素敵なお話もありました。


そのひとつが、オンラインツアーの魅力を発信したいというもの。あうたびのツアーに第1回目のモニターから参加され、企画に携わりながら研究をしているというのです。

ハマのヒロ

拝見した資料の内容はとても素敵で、これからの旅行の形のひとつになっていく可能性を感じました。

 

最後のほうには「あいたいけーね、山口おいでや」など山口県の方言がたくさん出たりと「わや *」な雰囲気にも。みんなの楽しそうに喜んでいる姿にであえました。


*わやは山口の言葉で、「どうしたんだ?!」「めちゃくちゃ」「混沌」「カオス」などの意味を込めて使われる。

編集後記

参加者もそれぞれの立場から様々な思いで参加されている様子を伺うことができました。

 

何と出会えるのか、何が起きるのか、行って体験してみなきゃ分からない。それが旅の醍醐味ですよね。これだからやっぱり旅はやめられないと思う私も旅好きのひとり。新しい旅の形、旅の楽しみ方にワクワクします。

 

生産者や地域でがんばる人たち、地域を応援したい人、ツアーを企画した人、純粋にツアーや特産品を楽しみたい人、いろんな「ひと」に「出会う」旅だと感じます。そんな場を提供してくれる「あうたび」が私は大好きです!

がのちゃん
Writer:がのちゃん

元地域おこし協力隊。現在は地域コミュニティの活性化や起業者育成、サテライトオフィス誘致などの事業に携わっています。好奇心旺盛な平和主義者です。

【取材データ】

2021.02.14 オンライン取材

【監修・取材協力】

・あうたび合同会社

 

取材にご協力いただきました関係各諸機関のほか、関係各位に厚く御礼申し上げます。

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